労働契約

メニューの偽装が問題となっていますが労働契約の偽装もいけません

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ホテルのレストランによるメニュー表示と異なる食材の使用に関する問題は、当初ホテル社長の対応のまずさが取り上げられましたが、同様のケースはホテルだけに留まらず大手百貨店へと広がりを見せています。

確かにホテルなどは信用を売っている所もあり、利用客はそれも含めて高い料金を支払っているのでしょうから、芝エビと表示しながら、安価なバナメイエビを使用するのはまずいように思います。今後、さらに安価なエビが出て来ると、今度はそれがバナメイエビと呼ばれる日が来るのでしょうか。

いずれにせよ、消費者を偽るような方法は昔から多くの食材で問題となっていますが、背景にはデフレによるコスト削減もあったりするのでしょうから、いつまでも繰り返し起こる可能性はあるでしょう。

労使関係における偽装問題とは

さて、労使関係においてもコスト削減をはかるために、本来は社員として雇用していたものを請負契約に変更しているケースも見られます。これを偽装請負とよんでいます。

一般的に正社員の場合は、社会保険に加入する義務があります。ですが、社会保険料については、毎年のように保険料が上昇しており、特に厚生年金については平成29年まで毎年0.354%ずつ引き上げられることが決まっています。

社会保険の保険料については、会社と社員が折半して支払いをしますが、平成25年9月の保険料改定によって会社の負担は、およそ14%となりました。

仮に月給20万円の場合、保険料として28000円の負担となります。他にも労働保険料や児童手当拠出金などもあり、会社の負担は年々大きくなっています。

請負契約の場合は、正社員のように社会保険に加入する必要はありませんから、社会保険の保険料の負担が減ることになります。偽装請負とは、これを悪用して雇用契約を請負契約へと変更するものです。

請負契約の判断基準とは

もちろん、雇用契約か請負契約かどうかの判断については契約書などの名称の問題はなく実態に照らして判断されることになります。判断の基準となるのは、次のような点があげられます。

1.依頼を受けた業務を諾否することができるかどうか。
2.業務を行う方法について指示を受けているかどうか。
3.業務を行う時間や場所などが決められているかどうか。

このような条件をきちんと満たしているようであれば問題ありませんが、そうでないようであれば、偽装請負契約と判断される可能性は高くなるでしょう。

社会保険の保険料の負担が大きいとはいえ、労働契約の偽装は企業の信用に関わる問題に発展しかねません。

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