労働時間

これが正しい労働時間の管理方法です

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退職した社員から未払い残業代の請求をされている、という会社からのご相談がありました。

詳しい話を伺うと未払い残業代の請求ですから、当たりですが退職した社員が自分で残業代を計算して◯円支払え、となっています。

そこで社長にこの請求についてはどうなんでしょうかと聞いてみると、これはいい加減な内容だと言われます。では実際にはどうなんでしょうかと、お聞きすると会社では時間管理をしていないと言われます。残念ながらこれでは判断ができません。

未払い残業代の請求に備えてという訳ではありませんが、会社としても労働時間を管理しなければなりません。そもそも社員の労働時間の管理については使用者が行うものとされています。厚生労働省から労働時間を適正に把握するために使用者が講ずべき措置が公表されています。

こちらをみると対象となる労働者は、管理・監督者及びみなし労働時間制が適量される労働者を除いたすべての労働者とされています。ここで注意が必要なのは、管理監督者は労働基準法で定められており、名称や役職において所長、店長と呼ばれていても該当しない場合があることです。

次に労働時間の管理方法についてです。
労働時間を適正に把握するためには、1日に何時間働いたかだけでは足りません。実際に働いた日ごとに働き始めた時間と仕事が終わった時間を確認して記録した上で何時間働いたのかを確定します。

その方法については、原則として社長や管理職が自分で確認をして記録するか、タイムカードやICカードなどを利用して記録をするものとされています。

やむを得なく労働者自身による自己申告制とする場合には、事前に適正な労働時間を記録し申告するように説明し、実際の運用においても適正に行われているかどうか定期的に実態調査をすることが求められています。

当然ながら残業時間の上限を定めたり、長時間労働を申告した者に対して賞与を減額する、などの不利益な取り扱いをすることを禁止しています。

さらに、労働時間を記録した書類の保存期間についても決まりがあります。
始業・終業時間を記録したもの、タイムカードの他にも残業命令書や報告書がある場合には、それらも含めて最後に記入した日から3年間は保存しなければなりません。

このように労働時間については、細かく管理するように求められています。会社にとっては負担が大きいかも知れませんが、労働時間の管理が詳細に求められている以上、できていないようであれば未払い残業については請求されるがままとなるリスクが高まります。

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