労務管理

厚労省のブラック企業調査結果をみて残業について思うこと

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9月に実施された、若者の使い捨てが疑われるブラック(と思われる)企業に対する集中取り締まり調査結果が発表されました。これによると調査対象とされた5111社のうち82%の会社において、賃金の不払いや違法な時間外労働が確認されたようです。

違法の内訳で43.8%で最多とされた「労使の合意を超えて時間外労働をさせる」労働基準法違反とありましたが、これは残業をさせる際に求められている時間外労働に対する労使協定(36協定)において、当初に定めた残業時間の限度を超えて残業をさせたというものです。

36協定の届け出を形式的に済ませているような場合には、割りと多いものと思われます。この点を取り上げブラック企業と呼ぶのは言い過ぎかと思いますが。それよりも基本給が低すぎて残業代を稼がなければ、生活が成り立たないような会社の方が悪質な気がします。

残業時間の中身を確認する

話が変わりますがニュースでは、残業時間の長さや残業代の未払いと労働基準法違反について取り上げられていましたが、実際のところ会社としてはその残業の中身まで踏み込んで確認しなければなりません。

そもそも残業については、本当に必要で行われているものと付き合い残業などムダなものと思われる残業も一緒に取り扱われています。会社としては残業の中身を確認して、ムダだと思われる残業については減らす努力をしなければ残業代をムダに支払うことになり、支払わなければブラック企業と呼ばれてしまいます。

具体例をあげると、上司や同僚が残っているからという付き合い残業や昼間たいして仕事していないにもかかわらず、終業時間が終わると元気になる自称夜型社員などはムダな残業と言えます。これらは上司が残業の中身を確認し、本当に必要な残業なのかを判断するようにしなければなりません。

これをやらないと、仕事の効率が悪い社員や要領が良い社員の方が残業代の分だけ給料が高くなってしまうからです。

若いうちはがむしゃらに仕事をしなければ

またよく聞くのが、若い社員は仕事を覚えるために残業をするだとか、若いうちこそがむしゃらに仕事をしなければダメだ、という話もあります。

確かにこれは一理あるとは思います。がむしゃらに仕事をするからこそ成長するということもあるでしょう。ただし、これも上司が仕事のやり方をよく見た上で適切に判断し、指示するようにしなければなりません。

というのも長時間労働をすることが目的となっている可能性があるからです。「徹夜で資料を作成した俺って頑張っている」というのが社員の自己満足ではいけません。そもそもそこまで詳細な資料が本当に必要かどうかの判断もしなければなりません。

見守るのは仕事の内容だけではありません。社員の体調面もチェックが必要です。長時間労働も過ぎれば精神疾患や心臓疾患など健康面においても支障をきたす可能性もあります。

会社には社員が健康で安全に働くことを配慮する義務があります。働き過ぎで病気、ましてや過労死など起これば、期待の人材を失うことにもつながり会社としても人的損害が大きくなってしまいます。

がむしゃらに仕事に取り組む社員に対して、限界がくる前に適切なアドバイスができるのは、上司が常に見守っているからこそできるものです。

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