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セクハラが労務リスクになる裁判で1300万円の和解額

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かつら製造・販売大手企業で店長だった男性従業員から繰り返しセクハラを受け、心的外傷後ストレス(PTSD)を発症し退職を余儀なくされたとした元従業員女性が同社に対して約2700万円の損害賠償を求め、同社が女性に1300万円の解決金を支払うことで和解した裁判がありました。

訴えによると、店長だった男性従業員が指導目的で来店し「数字を達成できなかったら彼女になるか、研修もしくは転勤だ」と脅すなどし、無理やりキスをしようとしたり、体を触ったりするセクハラを繰り返したようです。

セクハラの種類

セクハラとは性的な嫌がらせなど直接的なものだけでなく、相手が望まない性的言動すべてを指しています。

大きく分けると「対価型」と「環境型」の2つがあります。
「対価型」とは、職場の地位や役職などを利用して、解雇、降格、減給など昇進や待遇を条件として性的な服従を要求するものです。

一方「環境型」とは裸の写真を見せる、性的な発言をする、不用意に体に触れるなど就業環境を不快にさせることによって、業務に支障を生じさせるものです。

セクハラが難しいのは判断の基準に個人差があり、たとえ同じ言動であっても行為を行う相手によって受け取り方に違いが生じる点にあります。

例えば、20代の女性が名前を呼ばれる場合、同年代の男性社員が呼ぶ場合には「◯◯ちゃん」と呼んでもセクハラとは言われないかも知れませんが、私のような40代の男性が同じように「◯◯ちゃん」と呼ぶとセクハラだと言われる可能性が高くなります。

セクハラ判断のポイント

セクハラについては、法的な基準もなく判断についても個人による差がありますが、被害を受けた労働者が女性であれば「平均的な女性労働者の感じ方」、男性であれば「平均的な男性労働者の感じ方」を基準として判断するべきでしょう。

また、異性に接する際には次のような点に注意する必要があるでしょう。

  1. 本人は親しさを表すつもりの言動であっても、相手を不快にさせる可能性がある
  2. あくまでも判断基準は相手にあり、行為を受ける人によって受け止め方に差がある
  3. この程度であれば相手も許容するだろうと自分で勝手に判断しない
  4. 相手が嫌がっていることを繰り返さない

訴えられた男性従業員を擁護するつもりはありませんが、「数字を達成できなかったら彼女になるか」のくだりは、自虐的に(嫌なら頑張れの意味を込めて)冗談で言ってしまうこともあるかも知れません。

もちろんこれが冗談として相手に通じなくて、不快な思いをするからセクハラだと判断されるのですが...

セクハラ問題を真剣に考え

セクハラが訴訟となった際の賠償額は通常100万から300万円が一般的とされているようです。セクハラをきっかけに精神疾患や退職となったことを考えるとその額は低いものとされていました。

今回のケースのように和解額が1300万円となり、さらに今回のケースを先鞭として賠償額が高額化する可能性は十分に予想されます。

これまでは当事者間の個人的な人間関係の問題で片付けられてたケースもあるでしょう。しかしながら職場でセクハラが起こった場合には、加害者である従業員が損害賠償責任を負うことは当然ですが、会社も従業員の職場環境を調整する義務を怠った、あるいは加害者である従業員に対する監督を怠ったものとしての責任を問われます。

労務リスクとしてセクハラが起こる可能性があることを認識して、従業員教育していくことがますます大切になっていくでしょう。

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