就業規則

「副業って法律的にはOKだけど・・・」会社と副業の関係

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新しく法改正された労働安全衛生法の条文に誤りが見つかったそうです。

厚生労働省によると、改正労働安全衛生法で新たに創設されるストレスチェック制度に関する条文で「労働者の健康の保持」とすべきところを「労働省の健康の保持」と誤った。 (毎日新聞「厚労省:また法案条文ミス当時の課長処分」2015年2月20日)

今年12月施行となるストレスチェック制度の部分の条文を作る際に、間違ってしまったようです。出版社から誤りを指摘されたようですが、焦りまくったことでしょう。

ストレスチェック制度については、以前のエントリーで取り上げましたのでよろしければどうぞ。

ストレス溜まっているかわかる!セルフストレスチェック

奇しくも本年の同省内の長時間労働対策として、長時間労働削減推進チームを発足させ省職員の働き方を改善する取組みを進めています。

20時までの退庁、やむを得ず残業をする場合も22時以降については原則禁止とするしているだけに、条文の誤りが「労働省の健康の保持」とは、まさにタイムリーなミスとして酒席の肴となりそうです。

かくいう自分自身も就業規則などを作る際には、同じようなミスをする可能性があるので、他人ごとと笑ってばかりもいられません。

ここから本題 副業にについて

そんな就業規則を作る際に話題にあがるのが、社員の副業に関する取扱いについてです。

最近では、働き方の多様化としてクラウドサービスなどを利用した在宅ワークなど、副業をするハードルが低くなっています。そうは言っても、就業規則で社員の副業を禁止しているケースがあります。

法律的に言うと直接的に副業を禁止するものはありません。強いて言えば、労働契約法にある「信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」という部分にあてはまるでしょうか。

信義誠実の原則とは、当該具体的事情のもとで、相互に相手方の信頼を裏切らないよう行動すべきであるという法原則をいう。(信義誠実の原則-Wikipedia)

副業によって会社において「疲労による仕事の効率の低下」「長時間労働による疾患の発生」「営業上の企業秘密が漏れるリスク」「会社の信用の低下」などが考えられます。この辺りの一定条件次第によって副業の可否が分かれるところでしょう。

たとえば、勤務時間終了後に副業をすることによって睡眠不足となってしまい、翌日の業務に影響を与えたり。積もり積もって連日の労働時間が1か月100時間を超えてくると、心臓疾患や精神疾患などが発生する可能性も高くなってきます。会社としては社員の健康を管理する義務がありますから注意が必要となります。

また、副業がアルコールを提供する飲食店などの接客業や風俗業の場合などは、企業秘密の漏洩や会社の信用低下につながるおそれもあるでしょう。

法律的な点からみると、労働基準法では1日の労働時間を8時間までとしています。そのため副業先で8時間を超える労働時間が発生することによって残業代の支払いが必要となります。

さらに、副業先で週30時間を超える労働時間など、社会保険の加入条件に該当する働き方をする場合には、副業での報酬も合算した保険料の支払いが必要となります。

このような法律的な部分や副業による影響を考慮した結果として、就業規則に副業を禁止してケースが多いと言えるでしょう。さらに言えば「会社が生涯面倒みるから副業はせず会社の仕事に専念してね」という思いもあるかも知れません。

時代は変わって、たとえ一部上場企業であっても終身雇用として将来を約束できなくなりつつあります。また、会社の業績悪化によってやむを得ず給料を下げざるを得ないようなケースもあるでしょう。

そうなると生活していくために副業もやむを得ないとなる場合もでてきます。会社としてもその辺りを考慮して「許可制」や「届出制」が増えています。

最終的には、自社の働き方の状況と副業の内容によって変わってくることにはなりますが、今後、短時間正社員など新しい働き方も増えてくることによって、本業と副業と会社の関わり方も変わっていくことでしょう。

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