労災

海外の子会社でも労災の対象になるという画期的な判例がでた

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東京に本社がある運送会社の子会社が中国・上海あり、そこで働いていた45歳の男性が、急性心筋梗塞で亡くなりましたが、死亡前の1か月の時間外労働が約104時間あったため、遺族が国に労災の適用を求めて裁判を起こしました。

一審では海外に派遣中であるため「労災は適用されない」と判断されましたが、この度、高裁において「日本からの指揮命令関係などの勤務実態を踏まえて判断すべき」と従来の判決を一転、遺族側の主張を認める判決が出されました。

海外で働く労働者の労災保険

日本に本社がある会社が海外に支店や子会社をつくり、その支店などに日本から赴任するケースがあります。

通常、労災は日本国内にある事業所に対して適用されるため、海外の事業所で働く方については対象となりません。それでは転勤などで海外の事業所に派遣される場合はどうなるかというと、これは派遣先となる国の災害補償制度の対象となります。

しかし、外国の制度の対象範囲や労災の際に受けられる給付内容については、十分とは言えない場合もあります。

そのため日本から海外の事業所に派遣される際に希望すれば、海外での労災事故に対しても国内と同様に給付を受けることができるようになります。この仕組みを海外派遣者の労災特別加入制度といいます。

海外派遣と海外出張の違いは

ひとくちに、海外で業務を行うといっても大きく分けると「海外出張」と「海外派遣」があります。

労災は「海外出張」の場合は適用となりますが、「海外派遣」の場合は特別加入しなければ適用されません。

海外出張とは、国内での出張と同様に本来の自分が所属する籍は日本国内にあり、出張先がたまたま海外にすぎません。出張にあたるのは、商談や打ち合わせ、会議などです。

一方で海外派遣とは、自分が所属する籍そのものが海外にあります。その海外の会社での指示命令などに従って業務を行います。こちらは、海外の現地法人や提携先の企業、海外支店などで働くケースがあてはまるでしょう。

海外の労災の画一的な取り扱いを見直す判決

今回のケースは、2006年に上海の事業所に赴任し、2010年に設立された現地法人の責任者とのことです。

通常の海外における労災の取扱いについては、先にあるように海外子会社は日本国内の労災の対象に当たらないため、特別加入しなければ労災の適用を受けることができません。

この特別加入については任意のため制度を知らずに海外に赴任している場合などは今回と同様に、特別加入をしていないケースがあります。

しかしながら、海外の子会社や支店などは、日本にある本社の指示に従って業務を行なっていることは十分にあり得るはなしです。

これまで任意の制度ながら、加入していなければ労災とは認めていなかった特別加入制度の根本を覆すことに当る判決になると思います。

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