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冷凍食品への農薬混入事件にみる失う代償の大きさ

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冷凍食品への農薬混入事件は、解決の方向が見えてきたようです。容疑者はこれまで同一の製造ラインでの業務に従事していた契約社員とのことです。

今後詳しい動機も分かってくるでしょうし、それが全てでは無いのでしょうが、どうやら給料など会社での待遇に不満があったようです。

もちろんこのような事件を起こすことは許されるものではありませんが、社員の気持ちを考慮しないような会社の対応によっては、会社が失う社会的損失が大きくなる可能性があるという教訓とも言えるでしょう。

容疑者が勤務していた期間は約8年4か月となるそうです。雇用形態は半年単位の契約社員とのことでした。入社時からこのような契約が続いているかどうかは分かりませんが、半年契約というのはかなり不安定な雇用形態と言えるでしょう。

いくら契約社員が業務の繁閑に対応する調整弁の役割を担っているとはいえ、勤続年数が8年ともなるともはや正社員と同様とも取れる期間働いていることになります。

このように長期の勤続にもかかわらず、機械的に半年契約を繰り返していたというのであれば、その点にも問題があったとも思います。

契約社員の心理を考えると長期の雇用が続いているとは言え、不安定な立場からは会社への忠誠心や満足度が高まるとは考えにくいでしょう。

さらに追い打ちを掛けるように賃金体系が変更されたようです。
評価方法が変わることによってボーナスが減額となり、さらに不満が高まったようです。

この賃金体系の変更が、経費削減のためのやむを得ないものなのかどうかも詳細は分かりませんが、結果としてさらなる会社への不満につながっているのでしょう。

契約社員とはいえ、労働者の感情をあまり考慮せずしかも、モチベーションを上げるべく対応を怠った結果招いた事件とも考えられます。

繰り返しになりますが、このような事件そのものは許されるものではありませんが、企業が労働者の満足度アップやモチベーションを上げることを考慮せずに、利益を最優先として最低限度の法律を満たせば良しとする考え方が、企業における信用リスクと天秤にかかるようでは、その代償として失うものが大きすぎるのではないでしょうか。

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