労働条件

同一労働同一賃金を法制化することの違和感

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政府は正規・非正規労働を問わず、同じ職務に就くのであれば同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を法制化する方針を固めたようです。

(毎日新聞2016年2月12日 東京朝刊)

法制化では、パート労働法定められている「職務内容や責任の重さに著しい差がないことに加え、転勤や配置転換の有無、異動範囲などの人材の活法が正社員と同程度であるなら賃金に差をつけない均等待遇を求めている」規定を契約社員や派遣社員らを含む非正規労働者全体を対象とすることも検討しています。

でも、う~んそこじゃないんだよな~感が漂っています。

多くの企業では、正社員に対してパート社員などの非正規労働者の賃金は低く設定されています。もちろんそこには責任の重さや転勤など人材の活用方法に差があるからとされています。

同一労働同一賃金の黒船企業

これに対して、新しい流れも出てきているようです。

会員制倉庫型店舗を展開するコストコホールセールでは、「機会均等主義」をとり人種、宗教、肌の色、性別、年齢、身体障害、国籍などにかかわらず差別を禁止する方針を採っています。

給与面においても社員の時給を同一労働同一賃金としています。全国で24店舗を展開していますが全国共通です。

2015年11月、岐阜県羽鳥市にオープンした際には、岐阜県が発表している最低賃金746円に対して、最低でも1200円となり、深夜や祝日には1500円~1600円と差がついていたため話題になりました。

同社の採用ページにある中途採用のパートタイムを見ると

 

確かにアシスタント職が時給1200円となっています。

ちなみに、正社員を見ると

 

なんとこちらも同じポジションとしてアシスタントとあり、時給1200円となっています。

どうやら地域だけでなく、パート社員や正社員などの社員区分においても同一労働同一賃金のようです。

それではコストコは超ホワイト企業なのか

それではもう少し詳しくみていきます。
(あくまでも募集要項の範囲から分かることで実態は確認してません。)

正社員の給与欄をみると*印がついています。

1000時間毎(約半年)に64~82円の幅で昇給し最高1,650円(月収例29万円)もしくは1,800円(月収例31万円)まで昇給

約半年ごとに64~82円の幅で昇給し1,650円まで上がるようです。
つまり、半年ごとに64円、年間で128円の昇給していきおよそ3年半で頭打ちとなるようです。

月収でみると入社時は約21万円ですが、だんだんと昇給していき3年半後には29万円(31万円)となります。その後は管理職となればさらに昇給があると思われますが、管理職にならなければずっとそのままかも知れません。

一般的には、パート社員は昇給幅も少なく、長く勤務しても給与を低く設定しているケースが多いでしょう。

同社では同一労働同一賃金によってパート社員が優遇されているように見えるかわりに、正社員の待遇は長期的に考えると低く据え置かれ、決して優遇されているとは言えないかも知れません。

これはもちろん総人件費をどのように配分するかの考え方の違いであって、良いとも悪いとも言える問題ではありません。

ですが、政府が求めている同一労働同一賃金が進む限り、このように総人件費の配分比率をどのように変えるかでしか対応手段はありません。

要するに企業の売上が増加して利益があがらなければ総人件費が増えることは考えられず、いくら国が法律で同一労働同一賃金と規制したところで根本的な解決にはつながらないということです。

政府するべきことは同一労働同一賃金を進めることではなく、むしろ企業の利益を増やして全体の人件費を増やすために取り組むことではないでしょうか。

景気が良くなり人手不足になれば、企業は言われなくても賃金を見直すしかありません。

最後になりますが、改めてコストコホールセールの例は、良い悪いの例ではありません。企業としての方針があり人件費の配分方法が異なるという例として取り上げています。

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