労働時間

社員が疲弊している会社はどこへ行きたいのか

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カジュアル衣料を取り扱うある大手企業では、3年以内の離職率が5割前後で推移しているそうです。この会社は成長企業でもあるので、若くてもやる気次第ですぐに店長などの役職を経験できるようです。

ただし与えられる仕事量は多く、その業務量はとても就業時間内で終えることはできないようです。

社員は開店から閉店までずっと店舗で業務をこなし、それでも終わらずに休日出勤などもあります。特に社員数が少ない店舗では毎日14時間拘束が普通だったという方もいます。

しかし、決して会社では長時間労働を推進している訳ではなく、月間労働時間を最長240時間、残業時間では80時間を上限とし、上限を超過するようであれば出勤停止などの懲戒処分があります。

つまり会社としては労働時間の上限を定めているのですが、実際には業務が終わらないためサービス残業となっているのです。そしてこれに疲れた社員が退職するということのようです。

確かに仕事を覚える過程では一時的な長時間労働も大切だと思います。もちろんその中から仕事を早く終わらせるための創意工夫も生まれることでしょう。会社としても利益を上げるために無駄な残業を減らし経費負担を少なくすることも大切でしょう。

一部のやる気ある社員が成長できる企業は確かに魅力的に見えるでしょう。社員のやる気の有無によって一律に労働時間を制限することは、望ましいものではない事かもしれません。
ですが、日常の長時間労働によって疲れた社員が多い会社が本当に魅力のある会社でしょうか。

外から見ているだけなので実際の内部のことは分かりませんが、社員の離職率が高いということは、採用、教育に関するコストが高いということだけは間違いありません。これでは適正な経費配分とは言えないでしょう。

労働者の正義感による長時間労働の末に疲弊し退職をしてしまうようなことが事実であるならば、そこで働く社員は幸せなのでしょうか。

少しでも仕事をやりたい社員がいるのであれば、やらせるべきだと思います。しかし長時間労働を前提とした業務量というのであれば、仕組みに問題があるように思います。このような会社は疲弊する社員を代償に何を目指しているのでしょうか。

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