社会保険に加入する前に考える5つのこと

1.加入する前に

社会保険は、法人または、個人事業であっても法定16業種で常時5人以上の従業員を使用している場合は、強制的に加入するものとされています。

そのため加入の条件を満たしている場合は、会社が社会保険への加入をするかどうか検討するという事ではなく、法律的に強制的に社会保険に加入することが義務付けられています。

2.新規加入の実態について

このように法律では、法人は社会保険に強制加入となっています。
しかしながら社会保険料の負担は、給与の約13%と決して小さい負担ではありません。また、社会保険に加入した場合は、保険料の支払いが負担になるからといって脱退するということもできません。

そのため実態としては、法律では法人は加入義務があるとされていますが、社会保険への加入は書類による申告のカタチで行われている訳です。

社会保険に加入する前に、毎月の社会保険料の負担額をシミュレーションしたうえで本当に加入し続ける(保険料を払い続ける)ことができるのか、検討されることをお勧めします。

3.社会保険料を含めた人件費の考え方

会社創業時には、社会保険料の支払いが厳しいため、経営に余裕が出てから加入するという声をよく聞きます。

しかしながら従業員にとっては、新しく社会保険に加入することによって、毎月の社会保険料の負担が発生することになります。つまり新たに給料から社会保険料を引かれ手取り額が減ることを、負担に感じて社会保険の加入を嫌がる訳です。

そうは言っても、会社としても社会保険に新しく加入するからと社会保険料分の給料を上げることも難しいでしょう。

従業員のためを思って社会保険に加入するのに、目先の手取りを気にする従業員から不平を言われては、せっかく社会保険に加入する意味も薄れてしまいます。

本来、人件費の考え方は、社会保険料等の法定福利費を考慮したうえで決定するべきです。従業員の社会保険の負担についても、追加で給料から社会保険料を天引きすることになるから不平が出る訳で、最初から社会保険料を引いた手取り額が決まっていれば不平が出ることも無いでしょう。

社会保険に加入することは、従業員に対する老後の保障や万が一の事態に対する安心につながることは言うまでもありません。会社として、従業員に長い間安心して働いてもらうためにも、社会保険への加入を前提とした人件費負担の考え方をお勧めします。

4.社会保険に未加入なのに生命保険に加入するのはムダかも

社会保険に加入することによるメリットのひとつに、病気やケガにより働くことができない場合に受けることができる傷病手当金という仕組みがあります。詳細は省きますが、おおよそ給料の3分の2相当が療養期間にもらえることになります。

もちろん民間の生命保険にも同様の仕組みはありますが、民間の生命保険の場合は保険料は全額本人負担となります。社会保険の場合は本人負担と同額を会社が負担しています。わざわざ民間の生命保険に加入しなくても、社会保険に加入することによって受けることができるメリットを活用しない手はありません。

さらに税の取り扱いについても、生命保険については一定額までしか控除対象となりませんが、社会保険料については全額控除対象となるので有利となります。

5.未加入の会社は注意が必要

社会保険への加入は慎重に、と書いてきましたが、厚生労働省では厚生年金の負担を逃れるために、故意に加入の届け出をしない事業所について3年以内に半減させる目標を定め約175万か所ある全ての対象事業所を4年に1度調査する方針を明らかにしています。

また近年では、インターネット等で法律に関する情報も簡単に入手できるようになりました。

そのため本来は法律で加入義務があることは、簡単に調べることが出来ます。そのため社会保険に未加入の従業員から問い合わせを受けた際には、会社としてはなぜ社会保険に未加入なのか、いつ加入予定なのか、などを含めた説明責任が発生するでしょう。

さらに、社会保険の調査には年金事務所によるものの他に、会計検査院によるものもあります。会計検査院の調査によって未加入が判明した場合には、原則として過去2年前まで遡って加入することになります。保険料についても当然ながら2年分の徴収となります。

特に、加入対象者が高齢者の場合は、未加入期間の保険料の支払が発生するだけでなく、受給していた老齢年金を返還することまで求められます。

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